
戦国時代後期の九州において、三強と称される勢力があった。豊後の大友、薩摩の島津、そして肥前の龍造寺である。このうち、著名なキリシタン大名を輩出した大友氏や、幕末まで続く雄藩を築いた島津と比べて、龍造寺の知名度は低く、書籍等で取り上げられる機会はあまりない。
そんな龍造寺氏の最盛期を現出したのが龍造寺隆信である。隆信は北九州に覇を唱え、「五州二島の太守」と謳われた英傑で、抗争と策謀に明け暮れた。
本書は、龍造寺氏の勃興から筆を起こし、隆信の祖先、特に龍造寺家兼(剛忠)について紙幅を割いている。もちろん隆信本人については、誕生から出家・還俗、相続などの複雑なお家の事情や、近隣勢力との抗争の経緯を詳細に解説している。
龍造寺氏に関する基本史書に加え、 九州戦国史を読み解く上で貴重な軍記物をも参考にして記述しているのも本書の特色である。佐賀の賢婦人の代表格というべき母・慶けいぎん誾や、後に義理の弟となる西京の家臣・鍋島信昌(直茂)など、登場人物の興味深いエピソードが盛り込まれており、彼らの存在をより生き生きと感じ取ることができる。
また“九州の桶狭間"といわれる沖田畷の戦いの詳細図をはじめ、登場人物の肖像画、城跡・古戦場の地図や写真など、図版・史料類がふんだんに盛り込まれている。<挿図約100点>


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