
百姓たりといえども二君に仕えず!
荘内藩主酒井忠器のため、百姓たちは命を賭して江戸を目指す。
天保11年、江戸城御小座敷。大御所徳川家斉は老中水野忠邦に問うた。川越藩主松平斉典を荘内に転封する一件はどうなったのか――。財政難に苦しむ斉典は、肥沃な土地を持ち、富裕と見られている荘内藩に転封することを画策。川越藩は家斉の寵愛を受けるおいとの方の子・斉省を養子に迎えているため、愛妾を通じて荘内移封を吹き込んだのだ。水野は長岡藩を挟む三方国替えを提案。川越は荘内へ、荘内は長岡へ、長岡は川越へ。成立すれば川越藩は15万石から実収21万石となる。一方荘内藩は7万石に。沙汰を受けた荘内藩には激震が走り、百姓にも動揺が走る。藩主酒井忠器は凶作の年に藩からの拝借物が多い村でも快く救ってくれたうえ、拝借米金を残らず切り捨ててくれた。かたや松平が入部すれば厳しい取り立てで死人が出るだろう。百姓たちは国替え引き留めのため越境して公儀に訴え出ることを決める。越訴は天下の大罪。死罪も覚悟しなければならない。しかし藩主酒井家塁世のご恩に報いるため、百姓たちは蓑と笠だけ身につけて、江戸を目指した。史実「天保義民事件」を基にした歴史長編。








